No.スポンサーサイト

--/--/-- --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

No161.Serviceの意味

2009/12/09 04:17

業してからも、私の通っていたColumbia Business Schoolから頻繁にメールが届きます。たとえば、Executive Education Programのお知らせとか、Columbiaの教授の論文紹介とか、講演会のお知らせとか。

が、今回ばかりは、件名を見ただけで眉を顰めてしまいました。

"Professor David Robbins’ Memorial Service"


英語に馴染みのない方にはピンとこないかもしれませんが、Serviceには「宗教的な儀式」という意味があり、文脈によってはMemorialという形容詞がなくても、Service単独で「葬式」を意味します。

そして、メールの中身を見て、もっとビックリ。

以下、「続きを読む」リンクをポチっとクリックして下さい。
(RSSリーダーなどで表示されない方は、サイトまで見に来てね。)

メールによると、Adjunct Professor of the Finance and Economics Division at Columbia Business SchoolのDavid Robbinsが、今年6月初旬に亡くなったとのこと。私が卒業してから、約2週間後のことです。半年遅れとなりますが、今週末にキャンパスで追悼式を行うとのお知らせでした。

何がビックリって、

-- 「Professor Robbinsの授業履修者へ」という本文書き出しを読んでも、名前と顔が一致しなかったこと

-- 前夜に見たテレビドラマ(フィクション)の登場人物が亡くなったシーンを見て、号泣してしまったのに、Professor Robbinsのリアルな訃報を聞いても全く涙が出なかったこと

-- 経歴から予測するに、彼は60歳前後とまだまだ亡くなるには早すぎるにもかかわらず、訃報を聞いて「あぁ、やっぱり」と思ってしまったこと

-- Alumni Relations Teamという卒業生との関係構築・維持を担当する専門部署がBusiness Schoolにはあり、いいことも悪いことも含めて、卒業生にお知らせしてくる体制が整っていること


私はMBA最終学期、Professor RobbinsのCrisis Management & Government Regulationという授業を履修しました。

-- Professor Robbinsは1972年Columbia Law SchoolのJD卒、1982年Columbia Business SchoolのMBA卒、New Yorkで弁護士業やベンチャー企業投資のコンサルティングなどを行う実務家で、Columbia UniversityとNew Yorkにゆかりの深い人物でした。

-- 履修者は20名程度だったため、小規模な教室がアサインされ、Professorや履修者の物理的な距離が最も近い授業でした。

-- 授業はBusiness Schoolの中でも最もLaw Schoolの形式に近いもので、環境法やら不動産法、独占禁止法、粉飾会計などの判例を大量に読む、なかなかタフなものです。弁護士の同級生でさえも、ヒーヒー言いながら授業について行っていました。


これだけの条件が整っているにもかかわらず、私はProfessor Robbinsの名前を聞いても、その存在さえ思い出せなかったのです。インターネット検索で彼の経歴を確認して、ようやく思い出したのが、「あぁ、あの強烈に太った弁護士おじさんか」だけ。

正直に白状すると、習ったこともほとんど覚えていません。というか、覚えているのは、彼が授業の目的を"Keep you out of jail"(刑務所送りを避けること=法律の知識と倫理観を身に付け、不法行為に手を染めないこと)と定義したことだけ。

徹底した倫理教育を施すColumbiaらしい授業で、おそらくとても重要なことを学んでいたのでしょうけれど、授業の進め方が嫌いで、かつProfessorの話し方も嫌い。もう何というか生理的に受け付けない感じだったのです。ケンタッキーフライドチキンの創業者、カーネルおじさんを二周り大きくしたような体格、今にもはちきれそうなワイシャツとサスペンダー姿に、英語ネイティブなのにゆっくりした話し方で、途中大きく息継ぎしないと一文を話せないのです。息継ぎするたびに、彼の弛んだあごが首に埋もれて、見ているこちらが苦しくなるため、授業中はなるべく顔を上げないようにしていたぐらいです。「この人はそのうち心疾患でも患うんだろうなぁ」と思いながら、授業を受けていました。

こんな私のところに、訃報のお知らせとMemorial Service招待のご案内が来ても、ピンと来ないわけですよ。むしろ、美男・美女の俳優が、悲劇のヒーロー・ヒロインとして死の瞬間を演じているテレビドラマの方に、私は感情移入してしまうわけです。
おそらく、Professor Robbinsのご家族は、今でも喪失感が残っているだろうし、私が見たテレビドラマで悲劇のヒーロー・ヒロインを演じた役者たちは、撮影後にはピンピンして楽しくお茶でもしていたことでしょう。にもかかわらず、なぜ涙を流す局面を選べないのでしょう。

本当に自分は勝手で、いい加減で、恩義も義理のかけらもない、想像力の欠如した人間だと自覚する瞬間でした。

Alumni Relations Teamは、私の卒業後の進路や住所、寄付金の額、在学中の履修科目さえも把握しているわけですが、「履修者としての態度は失格」という烙印は管理していなかったようで。この烙印は、私自身の中にしか存在しない情報です。

個人的に、とても考えさせられる出来事でした。

Professor Robbins、ご冥福を心よりお祈り申し上げます。
そして、私に学びの機会を与えてくれたことに、感謝します。



コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://kicosj.blog118.fc2.com/tb.php/161-693e2daf
    この記事へのトラックバック



    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。